一人の少女が犯した罪は世論を沸かせた。彼女の殺害後の演出が史上稀に見るものだったからだ。
罪は罪を呼び、国の法を見直すこととなる。彼女は罪を認め罪を償ったはずだった。
2000年、この国では 52年も変わることのなかった一つの法があった。
少年法・・・未成年には成人同様の刑事処分を下すのではなく、 原則として家庭裁判所により保護更生のための処置を下すことを規定する、という法である。
時は流れ、今を生きる男は彼女に会う。ある”噂”の真意を調査するために浮かび上がったある男の影。
今ある正義とそれを作り出すための罪。事実と虚作の中で、もしかしたらの真実を描く。
これは平らな世を成り立たせるためにと動いたつい先の時代に起きえた物語。罪から導かれたのは世の人々を守る為の罪だった。